| 要旨トップ | ESJ71 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


シンポジウム S13  3月20日 9:00-12:00 Room C

植物による環境の記憶: 遺伝子制御からみる適応【O】
Environmental memory in plants: Understanding adaptation through gene regulation【O】

西尾治幾(滋賀大学), 荒木希和子(滋賀県立大学)
Haruki NISHIO(Shiga Univ.), Kiwako S ARAKI(Univ. Shiga Pref.)

はじめに定着した場所で一生を過ごす植物は、周囲の環境に対して生理状態および形態を変化させて柔軟に応答する仕組みを進化させてきた。その中には、植食者による食害や、乾燥・高温などの環境ストレスを受けた後に再び起こりうる攻撃や環境変化に備えたり、周期的な環境変動の中で適切なタイミング(ある季節やある年)で開花するなど、植物はそれまで経験した環境をあたかも記憶しているような応答をすることが知られている。このような植物が環境を記憶する仕組みにおいて、遺伝子の塩基配列の変化を伴わない遺伝子発現制御機構であるエピジェネティクスが主要な役割を果たすことが解明されてきた。エピジェネティクスの主要な分子実態は、DNAのメチル化およびDNAを取り巻くヒストンタンパク質の化学的修飾である。近年の研究により、これらのエピジェネティック修飾の変化は、世代内のみならず、世代を越えた応答においても有効に機能することが明らかになりつつある。本シンポジウムでは、植物の記憶に関わる現象およびそのメカニズム(遺伝子発現からエピジェネティック修飾)に迫る研究を進めている演者の講演を通し、局所環境への適応進化に対する柔軟なゲノム制御機構の寄与について議論する。

[S13-1]
非生物的ストレスの記憶および花成制御における冬の記憶 *西尾治幾(滋賀大学, 京都大学)
Abiotic stress memory and winter memory in flowering regulation *Haruki NISHIO(Shiga Univ., Kyoto Univ.)

[S13-2]
タケ類における数十年に一度の一斉開花現象を制御するメカニズムを探る *久本洋子(東京大学)
Exploring the mechanisms that control the mass flowering once every few decades in bamboos *Yoko HISAMOTO(Univ. Tokyo)

[S13-3]
クローナル植物における水環境への応答性とエピジェネティック修飾 *荒木希和子(滋賀県立大学)
Responsiveness to water environment and epigenetic modification in clonal plants *Kiwako S ARAKI(Univ. Shiga Pref.)

[S13-4]
環境前歴で変わる樹木の成長反応:それってエピジェネティック調節? *斎藤秀之(北海道大学)
Growth response influenced by past environmental change in tree. Is that epigenetic regulation? *Hideyuki SAITO(Hokkaido Univ.)

[S13-5]
シロイヌナズナ―ヨトウ間相互作用におけるエピジェネティック転写制御機構 *有村源一郎(東京理科大学)
Epigenetic transcriptional regulation in Arabidopsis-Spodoptera interactions *Gen-ichiro ARIMURA(Tokyo Univ. Sci.)

[S13-6]
反復配列エピゲノム情報の継承と確立 *角谷徹仁(東京大学)
Inheritance and establishment of epigenome in repetitive sequences *Tetsuji KAKUTANI(Univ. Tokyo)


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