| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


シンポジウム S20-2  (Presentation in Symposium)

草原と森林が斜面崩壊に与える影響 ―阿蘇地域を対象とした崩壊確率・規模の分析―【B】【O】
Impact of grassland and forest on landslides: Analysis of  landslide  probability and scale targeting the Aso area【B】【O】

*浅田寛喜, 皆川朋子(熊本大学)
*Hiroki ASADA, Tomoko MINAGAWA(Kumamoto University)

気候変動による災害リスクの適応策、あるいは急速に劣化しつつある生物多様性・生態系への対応として、生態系を活用した防災減災(Eco-DRR: Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)が注目されている。特に土砂災害に関しては、植生は根系をとおして土壌の強度を高め、斜面崩壊のリスクを低減することが知られている。
 熊本阿蘇地域には、日本最大級の草原が分布しており、草原に依存する貴重な動植物が多く生息・生育している。しかし、人々への草原の働きかけが減少するなどの要因により、草原は森林へと遷移し、過去100年間でおよそ半分の面積に縮小した。このような植生の変化は、斜面崩壊に対して影響を与えており、森林と草原などの植生の違いが斜面崩壊に及ぼす影響を評価することは、斜面崩壊リスクの低減に向けた最適な植生管理に関する情報を提供するうえで重要である。しかし、草原や森林などの植生の違いが斜面崩壊に与える影響を定量的に評価した研究はほとんどみられない。
 そこで、本講演では、阿蘇地域において、草原や森林などの植生の違いが斜面崩壊の発生確率や崩壊深度に与える影響について分析した結果を報告する。研究においては、GISを用いて、斜面崩壊に影響を与える地形や地質、植生及び雨量等のデータを収集した後、評価モデルとしてランダムフォレストを構築した。ランダムフォレストの予測精度は高く、信頼性のあるモデルが構築された。ランダムフォレストの結果より、斜面崩壊の発生に大きな影響を与えているのは1時間最大雨量や地質であり、スギやヒノキなどの針葉樹林は草原や低木と比較して崩壊の発生確率は低いことが明らかとなった。一方で、崩壊深度に大きな影響を与えているのは斜面角度や崩壊面積であり、草原は針葉樹林と比較して崩壊深度は小さいことが明らかとなった。


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