| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


自由集会 W03-2  (Workshop)

グリーンアノールの防除技術開発における経緯と課題
History and Issues of Development of Control Methods for Green Anoles in Japan

*戸田光彦(自然環境研究センター)
*Mitsuhiko TODA(Japan Wildlife Research Center)

現在、特定外来生物グリーンアノールの対策において最も強く求められているのは、第一に広い(数ha以上の)地域からの完全排除、第二に低密度条件における個体の検出である。本種は小笠原諸島の父島、母島、兄島、及び沖縄島、座間味島に定着しており、これら5島では行政機関等によって粘着トラップによる捕獲、侵入防止柵の敷設などの対策がとられている。しかし分布域が広い(数ha以上)等の条件下では、生息密度の低減化とそれに伴う生態系被害の低減化、分布拡散のある程度の抑制はできても、地域的根絶をほぼ達成できていないのが現状である。
個体の排除については、粘着トラップを手作業で設置するやり方を補い代替する手法として、小笠原では生分解性の粘着トラップをドローン等から投下する散布型トラップと、生きた昆虫に化学物質を装着して散布するベイト剤の開発が進められている。散布型トラップについては、トラップと散布器の製作、野外での散布試験による密度低減効果が確認されているが、野外での実用化のためにはコスト及び環境影響の検証などが必要である。またベイト剤については、ベイト昆虫の選択とその大量増殖、薬剤の選定と加工(カプセル化等)、薬剤装着方法、ベイト剤散布方法をそれぞれ確立する必要があり、各々の手法検討は進んでいるものの、野外でのアノールの密度低減化には至っていない。
 新たな防除手法を確立するために、これまで害虫防除、農薬、航空機などの専門家が検討に加わってきたが、更なる専門家、関係者の参画が強く求められている。また、アノールの基礎的な生活史や生態学(食性、繁殖など)、行動学(移動分散、社会構造、捕食者回避など)、遺伝学等の知見が不足しており、定着地においてこのような生物学的知見を集積することも必要である。今後の防除技術開発について一緒に検討できる、さまざまな研究者の参画を期待する。


日本生態学会