| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


自由集会 W09-1  (Workshop)

エージェントモデルを用いてモンゴル放牧生態系の家畜生産性と草地への影響を予測する【O】
Agent-based modeling of livestock predicting sheep energy balance and grassland degradation【O】

*吉原佑(三重大学), 宮坂隆文(名古屋大学), 甲野耀登(名古屋大学)
*Yu YOSHIHARA(Mie university), Takafumi MIYASAKA(Nagoya university), Akito KONO(Nagoya university)

講演1(宮坂隆文)
本プロジェクトでは、牧民の家計と放牧戦略に関する質問紙調査、家畜行動を捉えるバイオロギング、植生量分布を把握する衛星リモートセンシング、そして種組成分布を明らかにする独自の広域植生調査手法をエージェントモデルにより統合することで、多角的に動物生産と過放牧の実態を明らかにする。本発表ではプロジェクトの全体像を示し、続く二件の講演への導入を行う。

講演2(吉原佑)
 ABM の構造は、エージェントとしての羊と環境としての植物から構成される。環境中の各セルには植物種の組成、バイオマス、栄養価、嗜好性などの植物パラメータが含まれている。エージェント (羊) は 環境内の隣接するセルに移動しながら植物を採食し、エネルギー摂取量が変化する。モンゴルの動物の移動パターンは、動物の自発的運動パターンに加え、1) バイオマス、2) 嗜好性、3) 草の栄養の値を用いて隣接セルに羊を移動させるという、牧畜民の実際の戦略を 3 種類シミュレーションした。 羊の最終エネルギー摂取量、空間放牧圧、植物バイオマスを夏の2ヶ月間のシミュレーション後に推定した。 

講演③(甲野耀登)
乾燥地において植生の分布や家畜による利用は空間的に不均質で、詳細を従来手法で調査するのは困難である。近年UAVの発達により、空間情報を容易に取得可能になったが、草原への応用は限定的である。エージェントモデルにおける空間明示的な解析に向けて、草原植生の放牧に対する空間的な応答を評価する必要がある。
モンゴル国ツォグトオボーにて、2023年6月と8月に現地調査を行った。約7km四方の範囲
において240m四方のセルごとに優占種を記録した。また各調査区においてUAVにて空撮を
実施した。さらに家畜群にGPSを装着し、移動履歴データを取得した。本発表では、二時
期の空撮画像の比較から、家畜の利用による植生現存量への影響について報告する。


日本生態学会