| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
自由集会 W11-1 (Workshop)
樹木は植物界において長寿を特徴とするグループである。種という単位で樹木個体の寿命を捉えたとき、自然界では最大寿命に数日から数千年に至る大きなばらつきを持つ種が同所的に共存している姿が確認される。生活史戦略の根幹をなす寿命の謎は、古くから多くの研究者の興味を引き付けてきたが、理論的・方法論的な制約から未解明な点が多い。その一つに樹木の『平均寿命』が挙げられる。
本研究では、JaLTERの研究サイトを中心に全国の樹木追跡調査データを収集し、55種類の主要高木種の平均寿命(DBH=1cmになったときを0歳)の特定に挑んだ。対象としたすべての樹種において、最大寿命はヒトのギネス記録(122歳)を超えたが、平均寿命は約半数の樹木がヒトの値(73歳)を下回った。このような研究は、長年にわたる地道なデータの蓄積なしには不可能であり、より高次の解析や他分野との融合による新たな知見の発見が期待される。