| 要旨トップ | ESJ71 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
自由集会 W11 3月19日 16:30-18:00 Room D
生態系や生物多様性の変化を検出するには、長期的な生態系観測が肝要である。特に、人間の寿命を超えてゆっくりと成長する樹木から構成される森林は、継続的な観測が極めて重要な生態系の一つである。持続可能な長期生態系観測を実現するためには、世代を超えて、データ取得や公開などを引き継いでいく必要がある。若手世代にとっての長期生態系観測への参画の意義としては、すでに蓄積されているデータの利用や観測ネットワークへの参画により、時空間的に「ひとりではできない研究」が実施できることが挙げられる。しかしながら、少子化や大学院博士課程の入学者の減少、近年の対面コミュニケーションの機会損失により、世代をまたいだネットワーク展開や若手世代内でのネットワーク形成が課題となっている。
そこで、本自由集会を若手が長期生態系観測およびそのネットワークに参画する意義や方法を考える機会としたい。ここでは、長期観測ネットワークとして、JaLTER(日本長期生態学ネットワーク)を対象とする。JaLTERは、森林、草原、農地、湖沼、沿岸、海洋などの多様な野外調査地や研究施設を含む23のコアサイトと38の準コアサイト(2023年4月時点)を束ねるネットワークである。本集会では、JaLTERサイトのデータや設備を利用して、若手が①すでに実施した、②これから実施したい、「ひとりではできない研究」を紹介する。主に森林生態系で研究している若手に講演いただくが、研究手法はアナログな毎木調査から最新のリモートセンシングまで、対象は樹木から昆虫、哺乳類まで多岐にわたる。また、JaLTERにすでに参画している若手から、存在すら知らなかった若手まで、若手研究者の背景も様々である。このような多様な若手研究者の方々による講演を通じ、長期生態系観測ネットワークの維持・拡張についての展望を議論したい。本集会は、JaLTERで企画するものである。
コメンテーター:黒川紘子(森林総研)
[W11-1]
ヒトと同じ方法で樹木の平均寿命を推定する
Estimating tree life expectancy using the same method as for humans
[W11-2]
長期観測データとLiDAR観測を組み合わせて何ができるか?
What can we do by combining long-term forest census data with LiDAR remote sensing?
[W11-3]
年輪情報と長期データから迫る過去数百年の撹乱履歴と現在の森林構造・種組成の関係
Exploring relationships between disturbance history and current forest structure and species composition based on tree ring and the long-term data
[W11-4]
タイムラプスカメラを用いた植生フェノロジー観測網の構築−PENのこれから−
Construction of time lapse camera network for vegetation phenology monitoring
[W11-5]
長期観測データと衛星写真から作成する日本全国の森林における自然撹乱マップ
Mapping natural disturbance dynamics in forests across Japan combining long-term monitoring data and satellite images
[W11-6]
気候条件や植生が森林の有剣ハチ群集に与える影響の評価
Impacts of climatic conditions and vegetations on Aculeata bees and wasps communities in Japanese forests
[W11-7]
樹木の結実フェノロジーや結実量の年変動が動物媒介の種子散布に及ぼす影響の検証
Effects of annual fluctuation of fruiting phenology and fruit production on endozoochory seed dispersal system