| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


自由集会 W14-2  (Workshop)

生物多様性観測の国際連携と今後の展開【O】
JBON meeting【O】

*村岡裕由(岐阜大/国環研)
*Hiroyuki MURAOKA(Gifu Univ./NIES)

多様な生物多様性観測によるデータや知見に対するニーズが拡大している。ローカル,地域,グローバルスケールでの多様な観測によるデータ拡充や知見創出,これらの統合化と共有を通じた環境課題対策の推進の必要性については共通認識がある一方で,観測網の構築と観測の継続,データや知見の共有,データや知見の指標化が課題とされている。本講演では,国際的な生物多様性観測ネットワークにおける最近の動向を紹介する。
2008年に発足したGEO BON(地球観測に関する政府間会合・生物多様性観測ネットワーク)は,生物多様性の状態や変化を全球規模で観測・評価しようとする国際ネットワークである。これまでに,観測指標としてEssential Biodiversity Variables(EBV)の検討,標準化された観測手法のパッケージとしてBon in a Boxの開発を進めている。最近では既存の観測網や観測インフラの連携によって地球規模での生物多様性観測・データ解析網であるGlobal Biodiversity Observing System(GBiOS)の構築を提案した(Gonzalez et al. 2023)。APBON(アジア太平洋生物多様性観測ネットワーク)はGEO BONの発足の直後に日本の研究者コミュニティを中心に2009年に発足し,これまでに東アジア・東南アジアでの共同研究,生物多様性観測や評価に関するキャパシティビルディングなどに取り組んでいる(Takeuchi et al. 2021)。
生物多様性や生態系のデータに関する理解の普及,気候変動や炭素循環などとの分野横断的な知見の蓄積,データの時空間ギャップの解消,データ・知見の共有による地域・地球規模でのアセスメントの推進,さらに社会・経済分野との連携によるデータ・知見のバリューチェーンの推進がこうしたネットワークの重要な役割である。


日本生態学会