| 要旨トップ | ESJ71 自由集会 一覧 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


自由集会 W14  3月20日 13:00-14:30 Room B

JBON集会:生物多様性の調査・解析・連携のニーズと未来【O】
JBON meeting【O】

西廣淳(国立環境研究所)
Jun NISHIHIRO(National Institute for Environmental Studies)

生物多様性をめぐる状況は近年、目まぐるしく変化しています。生物多様性の損失が経済におけるリスクと捉えられるようになり、ビジネス分野での生物多様性情報のニーズが急速に高まっています。またそれと呼応するように、生物分布の予測や生物多様性の将来予測などデータ解析の研究や可視化技術も発展してきました。生物多様性戦略2023-2030においても、自然共生サイト(OECM)の認定、自然を活用した社会課題の解決(NbS)、ネイチャーポジティブ経済の実現といった基本戦略が相乗的に作用しネイチャーポジティブを実現するビジョンが示されています。
生物多様性情報のニーズの高まりは世界的な動向です。生物多様性条約(CBD)やGEO生物多様性観測ネットワーク(GEO BON)などにおいて、生物多様性の観測、指標化、公表、保全・再生行動を一体に進めるべく、政府機関や研究者による議論が活発化しており、生物多様性必須観測項目(EBVs)や一体的な観測システムの提案などが進んでいます。
日本の現状はどうでしょうか? 環境DNAや衛星データ活用の分野、生物多様性情報の指標化・傾向解析などにおいて個別の優れた研究は存在するものの、研究と経済・社会・政策の連携や、国際連携への協力は十分でしょうか? 多様な機関や研究者によって取得されたデータは、相互に活用できているでしょうか? そもそも様々なモニタリングの基礎になる「生物の名前を調べ、標本をつくり、データを利用可能な形で残す」という自然史的な活動を担える人材、時間、場所は整っているでしょうか?
このような危機感を背景に、JBON(日本生物多様性観測ネットワーク)は2023年4月に活動を再開しました。本集会では、JBONの活動についてご説明するとともに、生物多様性情報を統合的に活用し生物多様性の時間変化を指標化する最新の研究について紹介し、「生物多様性情報の取得―解析―活用・連携」の今後のあり方について意見交換します。

[W14-1]
JBONの活動と展望 *西廣淳(国立環境研究所)
Introduction of JBON *Jun NISHIHIRO(NIES)

[W14-2]
生物多様性観測の国際連携と今後の展開 *村岡裕由(岐阜大/国環研)
JBON meeting *Hiroyuki MURAOKA(Gifu Univ./NIES)

[W14-3]
生物多様性の時間変化を評価する *角谷拓(国環研)
Assessing biodiversity trends *Taku KADOYA(NIES)

[W14-4]
自然史研究の裾野はどのように広げることができるか? *三橋弘宗(兵庫県博)
New methodologies for capacity building on natural history research *Hiromune MITSUHASHI(Univ. Hyogo)


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