| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


自由集会 W19-1  (Workshop)

野生動物のマダニ運搬能力を推定する【B】【O】
Estimating tick carrying abilities of wildlife【B】【O】

*土井寛大(森林総合研究所)
*Kandai DOI(FFPRI)

アライグマ(Procyon lotor)やハクビシン(Paguma larvata)、キョン(Muntiactus reevesi)は外来種として知られるほか、人の生活圏に近い地域に生息するアーバンワイルドライフとして知られるようになった。近年は媒介感染症の病原体やマダニを運ぶリスクが県されている。神奈川県三浦半島地域で捕獲されたアライグマ274個体からマダニを採取し、253頭(92.3%)のアライグマからマダニ3属9種47,604個体を採取した。アライグマの性別、齢、季節、捕獲地点の土地利用(森林、農地、市街地)を説明変数として作成したGLMMから、アライグマの性別、冬季および夏季がH. flavaの全発育期および性別に影響することが示された。一方でハクビシンは41個体からマダニ採取を試みたがマダニが採取されたのは2属2種16個体(39.0%)にとどまり、マダニ拡散能力に大きな差を認めた。また、この差はマダニをグルーミングによって除去することで生じている可能性が示唆された。また、千葉県房総半島におけるキョン1頭からは1属3種のマダニを1,003体採取し、分布拡大に伴ってマダニを拡散させる恐れがあることを示唆した。こうした情報を積み重ねることで、アーバンワイルドライフの中で、マダニを多く運ぶEcological boosterとして懸念される動物種を特定し、感染症対策として優先的に管理またはモニタリングすべき動物種の提言を行うことが可能となる。


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