| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


自由集会 W21-1  (Workshop)

渡島半島から宗谷岬まで:2023年北海道におけるクマイザサの一斉開花【O】
The mass flowering of Sasa sect. Sasa in Hokkaido in 2023【O】

*明石信廣(北海道立総合研究機構)
*Nobuhiro AKASHI(Hokkaido Research Organization)

北海道の森林の林床は広くササ類が優占し、森林の動態や多様な生物のハビタットとしての機能に大きな影響を及ぼしている。北海道のササ類は林業の現場ではチシマザサ、クマイザサ、ミヤコザサ、スズタケの4タイプに分けて認識されていることが多く、以後この名称を用いる。このうちクマイザサは、小規模な開花が毎年観察されるが、2022年、日本海側の初山別村などで数十kmに及ぶ一斉開花が観察された。そこで、北海道内の主要道路沿いについて、2次メッシュ単位で踏査を行った結果、少なくとも羊蹄山麓から稚内までの各地でまとまった開花が観察された。
2023年には、前年に開花がみられた地域の周辺を中心に、さらに広大な範囲で一斉開花が見られた。そこで、踏査範囲を拡大したところ、渡島半島北部から宗谷岬付近、天塩山地周辺など広い範囲で一斉開花が確認された。ほとんど開花が確認できなかった石狩低地帯をはさんで、開花範囲は南西部と北東部に二分された。一斉開花の中心部ではほとんどのクマイザサが開花、枯死していたが、そこから離れるにしたがって非開花パッチが混在し、開花部分の割合が低下していた。小規模な開花は渡島半島南部や十勝地方でも見られた。
開花していたのは狭義のクマイザサだけではなく、チシマザサ節―チマキザサ節交雑複合体といわれるようなものも含まれた。また、部分的な開花はチシマザサやスズタケでも観察された。
南西部と北東部の開花範囲のそれぞれ西端(せたな町、寿都町、留萌市など)では海岸近くまで一斉開花が広がっていたが、東に向かうにつれて低地で開花が少なくなり、山地の西側、北側では広く開花していても東側、南側では開花が見られないところが各地にあるなど、開花範囲には地形も影響しているように思われた。


日本生態学会