| 要旨トップ | ESJ71 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
自由集会 W21 3月20日 16:30-18:00 Room E
2023年、八雲から稚内、さらには利尻・礼文島までと、北海道各地からササ類の一斉開花・結実現象が報告された。実際に野外で目の当たりにし、その壮大なスケールに圧倒された方もおられるだろう。タケササ類はイネ科タケ亜科に属すクローナル植物であり、地下茎を伸ばして成長し、生涯に一度だけ、広範囲で同調して一斉開花・結実した後、枯死すると言われる。開花周期(寿命)は長く、種によっては120年にも及ぶ。一斉開花は人間社会にも大きな影響を及ぼすこともあるため、古くから関心の高い現象であるが、滅多に起こらないことから研究機会は限られており、タケササ類の特異な生活史やその適応的意義、生態系への影響については未解明の部分も多い。
今回の自由集会では、タケササ類の開花現象についてどこまで分かってきたのか、「研究の現在地」を概観したい。国内では、この半世紀、ササ類を中心に研究が進められ、ここ10年では、全国的に開花がみられたスズダケやハチクなどを対象に、開花規模や開花習性、更新様式に関する調査が進められてきた。しかし、その全体像や、クローン構造を考慮した近年の研究成果などについて十分に共有されているとは言えないだろう。本集会では、北海道における開花の現況をはじめとして、これらの種を対象にした研究成果と課題を概説し、今後の展望や広域連携の可能性について議論する。本集会により、今後さらに多くの研究者が携わり、連携が強化されることで、新たな研究の可能性が開かれることを期待したい。
内容
企画趣旨
講演1:明石信廣、渡島半島から宗谷岬まで:2023年北海道におけるクマイザサの一斉開花
講演2:斎藤智之ら、全国規模で分布するスズタケの一斉開花の地理的変遷と開花特性
講演3:小林剛ら、ハチク開花後の枯死過程と開花後の植生変化から考える無性繫殖の適応的意義
講演4:富松裕、大きなクローンを形成するササ類の個体群動態と繁殖戦略
総合討論
[W21-1]
渡島半島から宗谷岬まで:2023年北海道におけるクマイザサの一斉開花
The mass flowering of Sasa sect. Sasa in Hokkaido in 2023
[W21-2]
全国規模で分布するスズタケの一斉開花の地理的変遷と開花特性
Geographical changes and characteristics in gregarious flowering of a dwarf bamboo species, Sasa borealis
[W21-3]
ハチク開花後の枯死過程と開花後の植生変化から考える無性繁殖の適応的意義
Possible significance of asexual growth on the regeneration of giant bamboo after flowering
[W21-4]
大きなクローンを形成するササ類の個体群動態と繁殖戦略
Population dynamics and reproductive strategies in dwarf bamboos developing large clones