| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
自由集会 W21-4 (Workshop)
日本の森林の林床に広く優占するササ類は、地下茎を伸ばして旺盛なクローン成長を行い、ときには100m以上にも及ぶ巨大なクローンを発達させる。1970年代以降、国内各地でササの一斉開花・枯死が生じた機会を利用し、枯死後の回復過程や個体群動態などが調べられてきた。2000年代になるとDNA分析による大量のクローン識別が可能となり、クローンの空間分布や繁殖成功度に関する研究も可能となっている。また、一斉枯死後には樹木の実生更新が促進されることも繰り返し観察されてきた。本講演では、これまで発表者らがチシマザサやチュウゴクザサの一斉開花を契機に取り組んできた研究を紹介し、(1)クローンの空間構造と繁殖成功度、(2)光環境が不均質な林内で密生するようになるプロセス、(3)一斉開花と森林のダイナミクスという3つの観点から、ササの個体群動態や繁殖戦略について考える。