| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) K01-14  (Oral presentation)

イチジク属とイチジクコバチ絶対送粉共生系における共送粉と「1対1」の再構築
Co-pollination and “one-to-one" reconstruction in the obligate pollination mutualism between Ficus and fig wasps

*蘇智慧(JT生命誌研究館, 九州大学), 楠見淳子(九州大学), 有本晃一(京都大学)
*Zhi-Hui SU(JT Biohistory Res. Hall, Kyushu Univ.), Junko KUSUMI(Kyushu Univ.), Koichi ARIMOTO(Kyoto Univ.)

イチジク属(Ficus, Moraceae)の植物は、袋状の花序(花嚢)の内側に花が咲き、その花嚢を出入りできるイチジクコバチ(Agaonidae)が唯一の送粉者である。コバチはイチジク植物に送粉すると同時に、一部の花に産卵し、孵化した幼虫が植物から栄養を得て育つ。従って、両者の間には繁殖が依存し合う絶対共生関係が構築されている。また、その共生関係は種特異性が高く、多くは「1種対1種」である。 
イチジク属の1種であるガジュマル(F. microcarpa)は、南アジア、東南アジアと東アジアに広く分布し、ガジュマルコバチEupristina verticillata1種のみが送粉者として知られている。我々が中国大陸から、台湾・琉球列島にかけて広く採集したサンプルを用いて、系統解析と集団遺伝解析を行った結果、これらの地域に分布するガジュマルコバチは遺伝的に大きく異なる3つの系統に分岐していることが明らかになった。また、それら3つの系統が台湾など一部の地域で同所的に生息しており、宿主植物との特異的共生関係を再構築していることも判明した。


日本生態学会