| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) K01-16  (Oral presentation)

都市-里山環境傾度の花形質の変化が植物-送粉者群集に及ぼす影響:花色組成に着目して
Effects of variation in floral colour composition on plant–pollinator interactions along an urban–rural gradient

田中奎佑(神戸大学), *中田泰地(九州大学, 神戸大学), 平岩将良(近畿大学, 神戸大学), 清水健将(神戸大学), 丑丸敦史(神戸大学)
Keisuke TANAKA(Kobe Univ.), *Taichi NAKATA(Kyushu Univ., Kobe Univ.), Masayoshi HIRAIWA(Kindai Univ., Kobe Univ.), Kensho SHIMIZU(Kobe Univ.), Atushi USHIMARU(Kobe Univ.)

都市化に伴う人工地面積の拡大や環境改変は、生態系機能の維持に重要な役割を果たす植物–送粉者群集に影響を及ぼすと考えられる。先行研究では、都市化が送粉者の種数や個体数に負の影響を与え、とりわけチョウ目で顕著であることが示されている。また、地中営巣性・単独性のハチ目や春季に活動する種がより強く影響を受けるなど、形質特異的な応答も報告されている。このような送粉者相の変化は、花形質に対する選択圧の変化を通じて、植物群集に影響を及ぼす可能性がある。一方、都市環境に生育する植物の群集は、高温や強撹乱などの非生物的要因にも影響されうる。これまで、特定の花色や花サイズが気温などの生物・非生物的要因の影響を受けることは指摘されているものの、季節を通じた環境変動や送粉者相の変化を考慮した研究は限られており、群集スケールでの統一的理解は十分に進んでいない。
本研究では、都市化が生物的要因(送粉者相)および非生物的要因(人工地面積・地表面温度)を介して、植物群集の花色構成に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。阪神都市圏の都市–里山環境傾度において15地点の水田畦畔を調査地として設定した。先行研究の開花植物および送粉者調査に基づき、訪花記録のある植物種の花弁の反射スペクトルを測定した。ハナバチの色覚モデルを用いて花色を6カテゴリに分類し、各地点における1 km²円内の人工地面積割合や地表面温度、送粉者相、調査季節と、各花色カテゴリの植物種数および開花量の関係を解析した。
人工地面積の増加に伴い、Blue-greenおよびUV-blueカテゴリの植物種数と開花量は有意に減少した。また、多くの花色カテゴリにおいて、種数および開花量は調査季節によって異なる傾向を示した。環境要因の解析から、Blue-greenの種数は地表面温度の上昇に伴い減少し、Greenの開花量も地表面温度の上昇に伴い減少した。一方、UV-greenの開花量は、ハナバチおよびコウチュウ目の種数の増加に伴い増加した。


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