| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) L03-05 (Oral presentation)
コロナウイルス感染症の消長は、数ヶ月の周期で第1波、第2波、といった振動を示す。通常、感染症が広がったあとの減少は感受性人数の低下によるが、2020-2021年の日本のコロナウイルス感染症では罹患した割合はごく小さいため、それとは異なる機構で生じている。
感染症が蔓延すると、人々が繁華街に出かける活動を控えたり政府も規制して蔓延がおさまる。その結果、人々は活動レベルを再び増加させ政府が規制をゆるめ、再び蔓延する。このように、感染症動態と人々の行動動態とが結合する状況を考えた。
仮定は:[1]感受性人数は一定値。[2]Yが患者数、zが人々の中で活動レベルが高い割合。[3]活動性が高い人は感染率が大きい。[4]患者数Yが増えると活動レベルを控える人が増える(感染リスク回避)。[5]集団内での活動性の割合が大きいと自らも活動性を高くする傾向がある(同調性)。
モデルは、ホップ分岐、ホモクリニック分岐、トランスクリティカル分岐、サドルノード分岐などを示す。初期値依存性、安定な振動、振動の周期が無限に長くなる現象、などもみられた。
感染症が消失せずかつごく低いレベルにとどまるには、回復率が、2つの感染力の中間にあることが必要である。また振動するためには、それに加えて、感染症リスクを回避する傾向と、他の個体の行動と同調する傾向がともに強い必要がある。
また旅行の予約やキャンセルのデータの解析から、[1]人々の恐れは感染者数の対数に比例している(これはウェーバー則に対応)とか、[2]以前に経験した流行のピークがあると、人々の恐れの反応が悪くなること(行動経済学のピークエンド則に対応)がよみとれた。
Iwasa Y, Hayashi R. 2023. JTB 558, 111366.
Omori, R., Ito, K., ..., Iwasa, Y. 2024. JTB 585:111795.