| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) M01-05 (Oral presentation)
キーストーン種は、存在量から予測されるよりも大きな影響を群集に及ぼす種として定義されている。従来の定義は、自身の密度変化によって他種の密度に影響する過程に注目しており、密度と形質が相互作用するエコ・エボ・ダイナミクスは見過ごされてきた。ここで我々は、密度と形質それぞれの摂動と応答を統合する、キーストーン種の新たな枠組みを提示する。
2つの生態学的キーストーン種(1)密度変化が他種の密度変化を引き起こすEco-to-ecoキーストーン種、(2)密度変化が他種の形質変化を引きおこすEco-to-evoキーストーン種と、さらに2つの進化的キーストーン種(3)形質変化が他種の密度変化を引き起こすEvo-to-ecoキーストーン種と(4)形質変化が他種の形質変化を引き起こすEvo-to-evoキーストーン種の4つを定義する。これらをエコ・エボ食物網モデルで数値的に評価することで、栄養段階のうち、どの種がキーストーン種になりやすいかは、摂動の種類によって反転することが分かった。つまり、密度摂動では大型種がキーストーン種になりやすい一方、形質摂動では小型から中型の種がキーストーン種になりやすい。この反転は摂動による相互作用の変化が、密度摂動においてはトップダウンに、形質摂動においてはボトムアップに伝播することに起因する。それに加えて、形質摂動では個体群密度が大きい低次の栄養段階の種がもつ影響が大きくなりやすい。この結果は、保全において進化プロセスを考慮に入れた保全優先種の順位付けのための新たな基盤を提供する。