| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) M01-07  (Oral presentation)

リモートセンシングを活用したTNFD対応のための自然資本調達評価手法の検討
Development of a Remote Sensing-Based Methodology for Natural Capital Procurement Assessment in Support of TNFD

*若月優姫(国際航業株式会社), 前田佳子(国際航業株式会社), 永田早希(国際航業株式会社), 小野寺遼(国際航業株式会社), 岡本憲一(国際航業株式会社), 原綾音(国際航業株式会社), 坂本拓二(国際航業株式会社), 三家本史郎(国際航業株式会社), 真砂陽太郎(国際航業株式会社), 鶴間亮一(国際航業株式会社), 森章(東京大学先端研)
*Yuki WAKATSUKI(Kokusai Kogyo Co., Ltd.), Yoshiko MAEDA(Kokusai Kogyo Co., Ltd.), Saki NAGATA(Kokusai Kogyo Co., Ltd.), Ryo ONODERA(Kokusai Kogyo Co., Ltd.), Kenichi OKAMOTO(Kokusai Kogyo Co., Ltd.), Ayane HARA(Kokusai Kogyo Co., Ltd.), Takuji SAKAMOTO(Kokusai Kogyo Co., Ltd.), Shirou MIKAMOTO(Kokusai Kogyo Co., Ltd.), Yotarou MASAGO(Kokusai Kogyo Co., Ltd.), Ryoichi TSURUMA(Kokusai Kogyo Co., Ltd.), Akira MORI(RCAST, Tokyo Univ.)

 近年、企業の経済活動が生物多様性に与える影響への関心が高まっており、欧州森林破壊防止規則(EUDR)等の国際規制への対応や、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく情報開示が強く求められている。特にASEAN地域から原材料を調達している日本企業は多く、調達等による周辺の自然資本への依存度やインパクトを把握することは急務である。しかし、現状ではサプライチェーン上流における調達先の把握方法や現地での事業活動による生物多様性への影響評価手法が確立されておらず、コスト負担やデータの精度の問題が企業にとって大きな課題となっている。
 本研究では、これらの課題を解決するためにリモートセンシングデータや公開されているGISデータを組み合わせ、調達先の推定および自然への依存度・インパクトを評価する手法を開発した。具体的には、コーヒー、ゴム、パームを対象として、衛星画像等から原材料の調達先を推定する手法を検討し、抽出した農地からの資源調達に伴うリスク把握の精緻化を目指した。評価指標の策定においては、アキダクトの手法を用いて水リスク(洪水・渇水)を評価するとともに、既存のGISデータの統合や生態二ッチモデリング手法により、生物多様性への影響度(森林伐採リスク、森林の量的・質的評価、希少生物種の生息可能性)を可視化した。
 これらの多角的なデータを統合することで、調達場所および事業実施場所における生物多様性へのインパクト評価指標を作成し、水資源および生物多様性への依存・影響を定量的に分析する枠組みを構築した。本成果は、TNFDで求められるバリューチェーン上流の詳細分析や、企業による調達先での生物多様性調査に資するものである。今後は、現地データとの検証の拡充、解析精度および頻度の向上を図り、ネイチャーポジティブな意思決定を支援するプラットフォームとしての展開を目指す。


日本生態学会