| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) Q01-07 (Oral presentation)
気候変動に伴う冷温帯性落葉樹の生育期間の変化は、生態系の生産性に大きな影響を与えるが、春の展葉フェノロジーに比べて、秋の落葉フェノロジーに関する知見は少ない。温暖化によって落葉フェノロジーは遅くなると予測されるが、近年、展葉が早いと落葉も早くなることや、夏の気温が高いと落葉が早くなることなどが報告され、生育期間中の光合成量が多いと落葉が早くなることがわかってきた。そのため、秋の落葉が気候変動に伴ってどのように変化するかは明確ではない。
本研究は、東京大学北海道演習林で行われている樹木フェノロジー観測データを用いて、展葉と落葉のフェノロジーの40年間の変化を解析し、特に落葉フェノロジーに与える要因を解析した。観測されている落葉広葉樹40種のうち、自生種37種について、1980年から2020年の観測データを解析した。
40年間でほとんどの種で展葉日は早くなっていたが、落葉日はほとんど変化がない種が多く、早くなっている種と遅くなっている種の数も同程度だった。そのため、生育期間(展葉日~落葉日)の延長は、平均としては展葉日の早まり分程度だった。落葉日に対して、展葉日および秋の気温の両方が正の効果を与えている種が多かった。つまり、春が暖かくなって展葉日が早くなることによる落葉の早まりと、秋が暖かくなることによる落葉の遅れが相殺され、秋の落葉日は40年間でほとんど変化していない種が多いと考えられた。夏の光合成量の指標が落葉に与える効果は限定的であった。