| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) Q01-09 (Oral presentation)
日射は地球上の主要なエネルギー源であり、生態系、農業、電力や風力、水力などエネルギー生成に大きな影響を与えている。日射変動は、光合成における光利用に加えて、植物が光環境を感受する複数の光受容体の応答を通して環境シグナルとして機能し、植物の成長、発達に大きな影響を与えている。遺伝的に多様な色覚を持つヒトは、視覚で得られる光の波長情報は生理調節にはほとんど用いていない。一方、陸上植物では、種群を越えて同じ特性を持った光合成色素や光受容体が利用され、波長応答も類似している。このことは、環境光の変動と利用様式に大きな影響を与えていることが予想される。大気や雲による日射の拡散(DF)は、植物群落やその内部の光の質と分布に影響を与える。植物は光受容体が感知する日射スペクトルの変動を信号として利用して成長と発育を制御しており、特定の波長比(CWR)が光形態形成および生態生理学的反応を引き起こすが、実際の野外におけるスペクトル変動様式については情報が十分に整理されていない。そこで、九州大学伊都キャンパスの農学部建物の屋上に設置した回転シャドウバンド型分光放射計で測定した1年間の日射スペクトル観測データを分析し、スペクトル変動のモデル化を試みた。年間を通じて曇りまたは部分的に曇りの空がほとんどで、晴天日の比率は10%程度であった。DF、晴天指数(CI)、および紫外線比率、赤色光/青色光、赤色光/近赤外光など考慮したすべての波長比の毎日の平均値は、顕著な季節変動を示した。これらの変化はDFやCI、エアマス(AM)、大気水蒸気圧(VP)など地上で測定・決定できるパラメータで容易に推定でき、さらに日変動様式と組み合わせることで、陸上生物の光信号に及ぼす天候や季節変化の影響評価が可能となった。