| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) Q01-10 (Oral presentation)
サクラソウ(Primula sieboldii)は絶滅危惧種であり種子採取および発芽が困難で、実生の栽培条件が不明であったことから、分子生態学的研究以外の論文は少なく、光合成・生長特性に関する論文はごくわずかで再現性が不明である。そこで榛名山の自生地で種子を採取して実生の効率的栽培方法を確立し、検証を行った。種子は4℃で2年間保存後全く発芽しなくなった。野外で長期的な土壌シードバンクを形成しないと推察される。発芽後1〜3年間の栽培実験の結果、1年生実生は9%以上の相対光量子密度(RPPFD)と10/℃〜30℃で生長可能でRPPFDと気温が高いほど相対生長速度は高かった。しかし、2-3年生実生の相対生長速度は17℃〜25℃、および13%RPPFD栽培で最も高く、3%RPPFDおよび30℃ではほとんど生長せず、100%RPPFDで低下した。実生の年齢が進むと根重比が倍化したことから、非同化器官量率(C/A)の変化がこれらの生理生態学的な違いの原因と思われる。
Farquharモデルでは統計学的に決定できない光合成パラメータを、指数関数式(y = m1 + m2*(1*exp(-m3*x)))とKaleidaGraph ver.5.0を用いて指数関数回帰式を作成することにより決定した。2-3年生実生の光飽和純光合成速と光補償点におけるInitial slopeは13%RPPDFD栽培で最も高く、光補償点とlight curveの曲率は13%RPPDFDで最も低かった。
これらの実験結果は、榛名山の自生地における開花・結実期間のRPPFDが5%〜30%程度で、日最高気温が25℃を越えることは稀であったことと整合する。