| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) Q01-12  (Oral presentation)

鉱山跡地で生育するトドマツの内生菌が関与した鉄耐性機構の解明
Iron tolerace mechanism of Abies sachalinensis by considering roor endopyte

*春間俊克(森林総合研究所), 山本耀介(北海道大学), 西本直人(北海道大学), 山路恵子(筑波大学), 升屋勇人(森林総合研究所), 有馬孝彦(北海道大学), 富山眞吾(北海道大学)
*Toshikatsu HARUMA(FFPRI), Yosuke YAMAMOTO(Hokkaido Univ.), Naoto NISHIMOTO(Hokkaido Univ.), Keiko YAMAJI(Univ. of Tsukuba), Hayato MASUYA(FFPRI), Takahiko ARIMA(Hokkaido Univ.), Shingo TOMIYAMA(Hokkaido Univ.)

トドマツ(Abies sachalinensis)は高濃度の重金属を含む鉱山跡地にも自生しており、そうした場所では重金属耐性を獲得していると考えられる。また植物の重金属耐性には根に感染している内生菌が寄与していることが知られている。そこで本研究では、根内生菌を考慮して鉱山跡地に生育するトドマツの重金属耐性機構を明らかにすることを目的とした。トドマツの根域土壌、葉、茎、細根の重金属濃度を測定したところ、細根に高濃度のFeを蓄積していたことから、トドマツは根においてFe耐性を獲得していると考えられた。次に、細根に含まれるFe解毒物質をHPLCやGC/MSを用いて分析した結果malic acid、catechin及びcondensed tanninを含有していることが明らかとなった。また、Feの植物毒性に関わるとされるFe/Mn比は細根よりも葉の方が低い傾向が確認された。さらに細根から根内生菌を分離した結果、Phialocephala属糸状菌が最も高頻度に分離された。そこで、分離したPhialocephala属糸状菌の全株(89株)のFe解毒物質産生能を評価したところ、Phialocephala bamuruが最も高い活性を示した。
以上の結果から、トドマツは根でmalic acidやcatechin、condensed tanninといったFe解毒物質を産生することで高濃度に蓄積したFeを解毒すると共に、FeとMnのちj奥部への移行を調整することで葉の褐変などのFeによる植物毒性を軽減していると考えられた。さらに、根に感染していた内生菌P. bamuruが鉄解毒物質を産生していたため、トドマツのFe耐性機構に寄与している可能性が示唆された。


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