| | 要旨トップ | ESJ73 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W30 3月13日 17:15-18:45 Room B: 京大4号31
植物は構造的・機能的に多様な化学物質を生産し、それらは種間相互作用や環境適応において重要な役割を果たすことが知られている。揮発性有機化合物(VOCs)、サポニン、フラボノイド、シアン化合物などは植物が産生する代表的な代謝産物であり、これらを介した生態学的プロセスの理解を目指す化学生態学は、分子から群集に至る多様な階層で生態系の理解に寄与してきた。しかし、研究対象やアプローチの多様化が進むなかで、異なる系や手法を扱う研究同士が交わる機会は必ずしも多くない。
本集会では、若手研究者による多様な化学生態学研究を紹介し、異なる視点からの成果を相互に参照することで、分分野横断的な理解を深めることを目的とする。具体的には次の4テーマを取り上げる(1)根圏における二次代謝産物を介した外来植物–微生物相互作用、(2)植物が放出する揮発性有機化合物(VOCs)を介した植物–植物間相互作用、(3)化学防衛物質の都市進化、(4)高山環境における植物のフラボノイド生産と環境適応。これらの研究は対象とする化合物や用いる手法こそ異なるものの、いずれも「植物が生産する化学物質が生態学的プロセスにどのように関与するか」という共通の問いに取り組んでいる。本集会を通じて化学生態学の統合的な理解を深めるとともに、新たな研究の連携や発想が生まれる場としたい。
[W30-1]
都市における植物の化学防衛形質の進化を統合的に理解する:景観、気候、近隣効果
Landscape, climate, and neighbor effects as drivers of urban evolution of cyanogenesis
[W30-2]
外来植物由来の根圏二次代謝産物が駆動する植物-土壌フィードバック
Plant-soil feedback driven by rhizosphere secondary metabolites
[W30-3]
森林群集におけるVOCsを介した植物間コミュニケーション
Volatile-mediated plant-plant communication in forest communities
[W30-4]
高山植物における抗ストレス性フェノール化合物を用いた化学的適応メカニズム
Chemical Adaptation Mechanisms Using Anti-stress Phenolic Compounds in Alpine Plants