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一般講演 B1-03

葉内CO2濃度に対する気孔コンダクタンスの応答

*鎌倉真依(奈良女子大・院・人間文化), 古川昭雄(奈良女子大・共生科学研究センター)

気孔開度の指標である気孔コンダクタンス (gs) は、一般に、葉内CO2濃度 (Ci) の増加にともない直線的に減少すると考えられている。一方、これまでに数種の植物において、gsは100 μmol mol-1 CO2の空気中で最大になる、という現象が報告されている。しかし、その原因や機構については明らかになっていない。気孔のCO2に対する応答パターンを調べることは、気孔のCO2感知機構を解明するための手がかりになると考え、本研究では、様々な植物のgs-Ciを調べた。また、ポプラを用いて、気孔の開閉に関与する環境因子がgs-Ciに与える影響についても調べた。

C3植物のヒマワリ(Helianthus annuus)、アサガオ (Ipomoea nil)、ポプラ (Populus euramericana) のgsは、Ciが100-200 μmol mol-1の間で最大になり、その後Ciの増加とともに減少した。一方、C4植物のトウモロコシ (Zea mays) のgsは、Ciの増加とともに直線的に減少した。よって、C3植物とC4植物では、Ciに対するgsの応答パターンに違いがあることが示唆された。また、ポプラでは、光強度または相対湿度が高い条件ではCiが100-150 μmol mol-1付近で顕著なgsのピークが見られたのに対し、これらの条件の変化またはABAの添加によりgsのピークは消失した。従って、気孔の開閉に関与する、光強度、水分条件、温度といった環境因子やABAがCiに対するgsの応答に影響を与えることが示唆された。

日本生態学会