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一般講演 B1-11

モンゴル半乾燥地における優占種Caragana microphyllaの展葉の降雨への同調

*山田義裕(岡大・環境学研究科),吉川賢(岡大・環境学研究科),高山晴夫(鹿島建設株式会社技術研究所),三木直子(岡大・環境学研究科)

乾燥地において樹木は厳しい水ストレスを受ける。雨季にあわせて展葉し、乾季に葉を落とすのは水ストレスを回避する戦略のひとつであり、特に雨季と乾季がはっきりした場所で多く見られる。しかし、温帯の乾燥地では雨季と乾季がはっきりせず、降雨の予測性が低い。

モンゴル中部マンダルゴビ近郊は草原になっているが、一部の地域では潅木が優占している。降雨は短期間に集中している上に年変動が大きく、2005年は7月30日、2006年は7月7日にその年初めてのまとまった降雨があり、それ以外の期間にはほとんど降雨がなかった。

2005年と2006年に、マンダルゴビ近郊で優占している潅木のCaragana microphyllaの展葉と当年枝の伸長を調査した。

両年ともC. micophyllaは展葉の季節性に二回のピークがあった。最初のピークは両年とも6月上旬で、ほぼ同じ時期であったが、二回目のピークは2005年は8月上旬、2006年は7月下旬であった。当年枝の伸長のピークは展葉の二回目のピークと同じであった。

1回目のピークは温度によるものと思われるが、2回目のピークは年によって時期が異なり、降雨と同調していたことから、温度によるものではなく、降雨への反応と考えられる。

以上より、C. microphyllaは最初温度によって展葉し、その後降雨にあわせて二度目の展葉と当年枝の伸長をおこなうことで予測不能な降雨を有効に利用していると考えられた。

日本生態学会