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一般講演 C1-11

伊勢湾櫛田川河口デルタの生態系構造

*野原精一,井上智美,樋渡武彦,木幡邦男(国立環境研究所)

【 はじめに 】環境アセスメントを実施する際、上流のダム建設等の事業影響がどこまで及ぶかを定量的に十分検討する必要がある。そこで流域生態系の影響評価手法を開発する目的で底質変化の著しい例として伊勢湾の櫛田川河口域の生態系構造を明らかにした。【 調査地の概要 】櫛田川の河口域では突堤より海側では砂質干潟が拡がり、地盤高が高い地点ではアイアシ、ヨシおよびハマボウが群生し、やや泥まじり砂の性状の干潟および澪も発達している。突堤から漁港には潟湖が発達し、底質はやや泥分が多い性状となっている。陸側にはヨシおよびアイアシ群落が存在する。【 底生生物】方形枠(25×25×15cm)を使用し、底生生物を採取した。干潟部の中〜低潮帯にかけてはアサリ、シオフキガイ、低潮帯ではホトトギスガイが多くみられた。潟湖部では、ヘナタリ、チゴガニ、コメツキガニの同3種が主要種となる。カニの分布域は地盤の高さで明確に異なっていた。各植生群落の根圏生物相は、ヨシ帯では巻貝のヘナタリ、フトヘナタリおよびチゴガニ、アイアシ帯ではフトヘナタリ、等脚類のスナホリムシ科、端脚類のハマトビムシ科が多くみられ、底質は類似した環境ながら主要種はやや異なった。ハママツナおよびハマボウ帯では、出現種類数および個体数も少ないものの、底質性状の違いによりハママツナ帯ではコメツキガニ、クチバガイ、ハマボウ帯ではフトヘナタリ、カクベンケイガニおよびチゴガニが主要種となる。雑食者のスナホリムシ科、ハマトビムシ科およびカクベンケイガニ以外は全て表層堆積物食者であった。多様度指数をみると、0.72〜1.94の範囲とやや小さい値、各地点を比較すると潟湖部でやや大きい値を示した。

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