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一般講演 C3-02

人工音響によるブルーギルの採餌抑制

*米倉竜次,大原健一,望月聖子,斉藤薫(岐阜県河川研),片野修(中央水研)

ブルーギルは漁業資源や在来生物群集への影響が懸念されている外来魚であり,駆除管理に係る体制づくりが強く求められている。既存の漁具や採集法を用いた駆除は行われているものの,人員や労力を継続的に確保することが容易ではなく,長期にわたりブルーギルを抑制することは通常,困難となっている。したがって,人に替わりブルーギルを長期的に抑制することができる技術の開発が必要となっている。多くの外来生物同様,生物群集に与える外来魚ブルーギルの侵害性は捕食を介した在来生物への直接的(被食)あるいは間接的(競争)な影響の結果である。従って,ブルーギルを完全に駆除することが技術的に困難な場合であっても,長期的にその採餌活性を抑制させることさえできれば,在来生物群集に対するその侵害性を低下させることが可能となるかもしれない。

水中の人工音響は鯨類や魚類をはじめとする水棲生物への影響が懸念されている一方で,ブルーギルのみに有効な音響を特定できれば,有用な駆除方策となる。さらに水中での音の減衰は比較的少ないために,その効果は広範囲に及ぶ可能性がある。こうした考えから,本研究では,ブルーギルに対して最も採餌活性を低下させる人工音響の選別・抽出を目的とした室内実験をおこなった。特に,純音の一種である正弦波を用い,ブルーギルの採餌活性を最も低下させる周波数と音圧を特定することを目的とした。

採餌量は周波数(Hz)と音圧(dBu)の違いにより有意な影響を受けた。今回の講演では,因子解析法により実験した計7段階の周波数ならびに計3段階の音圧のうち,ブルーギルの採餌活性を最も低下させる周波数と音圧を紹介する。最も効果のあった周波数ならびに音圧下では音響を暴露させないコントロール区と比較して,採餌量がそれぞれ17%,40%程度にまで低下することが確認されている。

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