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一般講演 C3-05

昆虫類の侵入と進化的重要単位

*五箇公一,米田昌浩(国立環境研),岡部貴美子(森総研),後藤哲雄(茨城大・農)

人為的生物移送がもたらす生物学的侵入は、生物多様性を脅かす要因として世界的にもその対策が急務とされる。我が国でも、侵略的外来生物から固有の生態系を守ることを目的として、「外来生物法」が2005年6月に施行された。この法律で指定された外来生物は、規制対象種として、輸入・飼育・移送・野外への放逐が一切禁止される。既に、オオクチバスやマングースなど、深刻な影響を及ぼしている外来種が規制対象種として指定され、駆除事業も進められている。しかし、その一方で、我が国では、商業目的でトレードされる外国産ペット生物の輸入が衰えるどころか、一層活発なものとなっており、その背景には貿易の自由化という国際的潮流が伺える。挙げ句には、これまで国内への持ち込みが厳しく制限されていた重要農業害虫までもが、世界共通種(コスモポリタン)であるという理由で検疫対象から次々と外されるという事態を招いている。世界経済のグローバリゼーションという大義名分の前では、地域固有性という概念は木っ端微塵に吹き飛ばされる。本講演では、当研究室がこれまで進めてきた輸入クワガタムシおよび輸入マルハナバチという「商品化昆虫」がもたらす遺伝的攪乱のリスク評価研究について、最新の知見を交えて紹介する。輸入クワガタムシについては、特にアジア全域に分布するヒラタクワガタ地域系統間のDNA変異解析を進めることにより、本種の地理系統分化プロセスをより詳細に推定した。また交雑実験により、各系統間の生殖和合性を明らかにした。輸入マルハナバチについては、中国における中国産マルハナバチの商品開発実態を現地調査するとともに、各種系統のDNA変異解析を行い、アジア域におけるマルハナバチ類の系統分化プロセスを追跡した。

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