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一般講演 F1-07

ラジオテレメトリーを用いたトウキョウダルマガエルの移動追跡

*戸金大(明治大・農学),福山欣司(慶應大・生物),倉本宣(明治大・農学)

トウキョウダルマガエルRana porosa porosaの非繁殖期における生息地利用と移動様式を明らかにするためにラジオテレメトリー法を用いて追跡調査を実施した。調査は2004年から2006年の秋季(繁殖活動が終わり水田に水が少なくなり活動の後期と考えられる時期)に東京都の図師小野路歴史環境保全地域内の谷戸田で行なった。個体の自然な行動を阻害しないよう発信機の重量を体重の10%以下に抑えるため,追跡には成熟個体を用いた。麻酔した個体に発信機を縫い付けまたは腰バンドによって固定し,覚醒後速やかに捕獲地点および任意に設定した地点に放逐した。追跡には八木三素子アンテナおよび受信機を用い個体の位置を確認した。調査初日はカエルを24時間追跡調査し,その後は間隔を適宜調節し定期探査を行った。追跡調査は発信機の電池が消耗し追跡不能になるか,個体に大きな移動が見られなくなる時期まで続けた。各探査では,発信音の強くなる方向へ徒歩で移動し,可能な限り発信場所を特定し,結果を「目視確認」,「発信音確認」,「発見できず」として地図上にプロットした。24時間追跡調査の結果,休耕田や水田に放逐した個体ともに調査開始後すぐに移動を始めた。その後追跡を続けた結果,04年,05年では個体は一定方向では無くさまざまな方向に移動し,移動日数に差はあったが,個体の多くが谷戸の下流方向の池に移動した。一方,06年の結果では,個体は放逐地点から大きく移動することは無かった。また,追跡個体が目視確認できた位置は水上または水辺付近であり,発信音を確認できたのは水路や水田の中であった。調査を行った時期の水田は一部が湿っている状態(水深約1cm)であり水路や水溜り以外に水は無く,いずれの個体も水辺から離れることは無かった。本大会では,これらの結果と環境要因を考察する。

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