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一般講演 G1-11
大きなスケールでの植生の空間分布は、気温、降水量、土壌基質などの物理環境の分布から説明される。しかしこれらの物理環境の傾度からは説明できないような分布パターンや不連続な移行帯が観察されることがある。モンゴル北部にみられる斜面方位・標高に対応した森林-草原の不連続な分布もその一例である。この現象は斜面方位に対応した水分条件から説明されてきたが、その不連続性がどのように成立し、維持されているかについては未解明の部分が大きい。
本研究では、2種類の生活型の植物のバイオマスと土壌水分についてのダイナミックスを数理モデル化し、その定常状態の降水量変化に対する変化を解析した。その結果、植物間での土壌水分に関する促進作用と競争作用によって森林と草原が双安定となる降水量域がありうることがわかった。これは降水量の減少がカタストロフィックな森林の草原化をもたらす可能性を示すと同時に、気候の変動に対する応答履歴効果が今日の不連続パターンを示す原因となりうることを示唆するものである。
さらに、3秒メッシュのDEM(SRTM)を用いて斜面スケールでの可能蒸発量を求め、LANDSATの画像解析による森林・草原の分布との対応から、この地域での斜面スケールでの植生決定要因を推定する手法について報告する。本発表では主にモンゴル北部での結果を紹介するが、本研究で用いるデータは局所的な気象を除いてすべて全球で均質に得られるデータを用いるので、全陸域への応用を視野にいれることができる。