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一般講演 G3-02
河口干潟において生態系の保全・修復を行おうとする際,順応的な管理が必要であり,そのためにもアセスメントおよびモニタリングを効率的に行っていくための手法を構築する必要がある.効率的な調査の実施には,費用対効果と精度の両者を考慮して調査地点の配置を決定する必要がある.また,干潟の物理的環境の変化に対応した生物の分布変化を予測するためのアセスメントでは,物理的環境と生物の生息域との対応関係を把握した上で,潜在的生息域を推定するためのモデルを構築しておく必要もあるだろう.そこで本研究では,1)現地調査を行う際の調査地点間隔の検討,および,2)干潟に生息する生物の潜在的生息域の推定を試みた.調査地は,徳島県吉野川の河口から約2km地点右岸の干潟とした.
1mDEMから5m,10m,25m,50mのDEMを作成し,それぞれの解像度で比高図を作成し,1mDEMの比高図と比較して精度を検証した.その結果25mでも一定の精度が得られることが示唆された.また,環境因子として,貫入抵抗値,粒度分析,ヨシ密度等を取り上げ,対象干潟全域を25m×25mの格子点上で調査した.そして,25m×25mの範囲を6セット選び,その内部を5m×5mの格子点に細分し,同様の環境因子を計測した.これら2つの解像度で得られた環境因子図を比較したところ,25m×25mで一定の精度が得られることが示唆された.この結果をもとに,カニ類および貝類の分布を調査し,それらの潜在的生息域推定のモデル構築を試みつつある.すなわち,25m×25mの格子点上に,ピットフォールトラップおよび25cm×25cmのコドラートを設置し,前者でカニ類を,後者で貝類を採取した.あわせて比高,貫入抵抗値,粒度,ヨシ密度,ヨシ高さ,落ち葉量を調査した.ロジスティック回帰,選好度,二進木法等を用いて,これらの対応関係の把握し,予測可能性を検討する.