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一般講演 H1-10
諏訪湖の魚類群集の変動を調べるために、コイ・フナ・ワカサギ等16魚種について過去100年間の時系列解析を行った。時系列解析では諏訪湖漁業組合の漁獲量・努力量を用いて、各魚種の総バイオマス量の時間変化を差分方程式でモデル化し、バイオマス量の変動と増殖率・環境収容力などのパラメータを最尤推定した。ウナギ・アマゴ・ヒガイ・タナゴ類などいくつかの魚種で個体数が大きく減少しており、水門による海への移動の阻害、湖岸の浚渫などが第一の原因として考えられた。海への移動だけでなく繁殖期に湖から河川に移動する種や湖内で繁殖する種などがあり、生活史における生息域の利用特性は各魚種で異なる。それぞれの魚種について整理し、護岸改修・堰堤等などの環境改変と個体数の変動パターンとの関係を調べた。また、餌メニューの違いや稚魚の被捕食を既存の知見から整理し、ギルド内の各魚種の変動パターンの類似性などを検討することで、群集構造がその動態に与える影響について考察する。この研究は環境省地球環境保全等試験研究費「在来淡水魚保全の為の生息地ネットワーク形成技術に関する研究」平成18-20年度において行った。