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一般講演 H3-01
アカネズミの個体数変動に対するミズナラ堅果量の影響を分析した.分析には北海道大学雨竜研究林が調査を続けているアカネズミの個体数変動データ(1992-2006年)とミズナラ堅果量のデータ(1991-2005年)を使用した.アカネズミ個体数の変化は前年のネズミ密度,ミズナラ堅果量,ネズミ密度とミズナラ堅果量の交互作用でよく説明できた.交互作用の存在は,ミズナラ堅果量がネズミの密度依存性に影響していることを意味しており,ミズナラ堅果が豊作の年には密度依存性が弱くなることがわかった.これは,アカネズミの密度依存性は資源を巡る種内競争によって生じていることを意味しており,資源が豊富なときに競争が緩和されることを表している.しかし,線形を仮定した動態モデルは,ネズミが低密度になると非現実的な予測を導いた.豊作年と凶作年で密度依存性の傾きが異なるために,ネズミが低密度になると豊作の年よりも凶作の年の方がネズミの増加率が高くなると予測されてしまうのである.この矛盾は線形を仮定したために起きたと考えられた.アカネズミはある閾値以下の密度では個体間にほとんど競争がなく,密度効果は閾値以上の密度で生じると考えられた.この閾値を考慮した非線形モデルはアカネズミの個体数をよく予測できた.