| 要旨トップ | ESJ54 一般講演一覧 | 日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨


一般講演 H3-11

熱帯と温帯地域の土壌微生物が地上部生物の多様性創出に及ぼす影響

*安田弘法,俵谷圭太郎,村山秀樹,佐藤智,西澤隆,村山哲也,豊増知伸,三浦幸福,原広光,上田紘司,駒嶺翔(山形大・農),Suhardi, A. Trisyono, Suputa,Witjaksono,Purnomo(ガジャマダ大学),E. Purnomo,(ランブンマンクラート大)

土壌微生物は植物の成長や遷移を通じて上位栄養段階の節足動物の多様性創出に影響を及ぼすと考えられるが、そのようなことを熱帯と温帯で比較した研究はない。生物多様性が高いインドネシアのジョグジャカルタと山形県鶴岡市で、植物の根に共生しリン酸の吸収などを促進するアーバスキュラー(VA)菌根菌が侵入植物とその後の植物遷移を通じ、植食性及び捕食性昆虫の多様性創出に及ぼす影響を解明することを目的に2004年〜2005年まで野外実験を行った。2地域の調査地に殺菌剤処理区と水処理区を設定し、実験期間中2週間毎に殺菌剤または水を散布し、菌根菌形成率と植生及び昆虫の調査を行なった。その結果、ジョグジャカルタでは2005年12月には菌根菌形成率は水処理区より殺菌剤区で低下したが、鶴岡市ではヨモギ以外では低下しなかった。植物種数は調査期間を通じ2地域の2つの処理区で一定の傾向はなかったが、バイオマスは2地域ともに殺菌剤区で増加する傾向があった。植物バイオマスが増加した殺菌剤区では、2地域ともに植食性昆虫の種数、個体数、バイオマスが増加する傾向があった。さらにジョグジャカルタの殺菌剤区では捕食性昆虫も増加したが、鶴岡ではそのような傾向はなかった。これらのことから、ジョグジャカルタでは殺菌剤処理によりVA菌根菌形成率の低下が生じ、これが植物バイオマスを増加させ、地上部生物の多様性創出に機能していると考えられたが、鶴岡ではこのボトムアップ効果が明確でなかった。このようなボトムアップ効果の地域間差異について考察する。

日本生態学会