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一般講演 P1-021

野生ホンザルの個体数変動

杉浦秀樹(京都大・霊長研), 田中俊明(梅光学院大・子ども), 揚妻直樹(北海道大・北方フィールド科学センター), 早川 祥子(京都大・霊長研), 香田 啓貴(京都大・霊長研), 早石 周平(琉球大学・大学教育センター), 柳原 芳美(総合地球環境研究所), 半谷吾郎(京都大・霊長研), 藤田志歩(山口大・農), 松原幹(京都大・霊長研), 宇野壮春(宮城のサル調査会), 清野未恵子(京都大・動物), 鈴木真理子(京都大・霊長研)・, 西川真理(京都大・動物), 室山泰之(京都大・霊長研)

[目的] 屋久島西部海岸域では、1998年の秋〜1999年冬にかけて、ニホンザルの大量死が観察された。大量死からの回復過程を明らかにし、大量死がその後の個体群動態に与えた影響を探る。

[方法] 毎年7-8月にニホンザルの頭数調査を行い、個体数や0歳個体の数を数えた。また、定期的に道路を歩いてサルを探し、その構成を数えることでも、個体群パラメータの推定をした。さらに集中的な調査の行われている群れでは、個体識別に基づいて、出産、消失などを随時記録した。

[結果] 大量死の後2年は頭数が急速に増えたが、その後は頭打ちになってきている可能性があった。また、大量死の際に0歳個体が極端に少なくなったことが原因で、出産率の高い年と低い年が交互に現れた。

[考察] 大量死によって、一時的に密度が下がり、そこから個体数が増加したと考えられる。しかし、その傾向がどこまで続くのか、あるいは、すでに終わっているのかは明かではない。また、大量死後は出産率の変動が大きいが、今後収束していくかどうかは、その原因の追及を含めて、未解決である。分析を進めると共に、今後もモニタリングが必要である。

日本生態学会