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一般講演 P1-038
空間明示個体群モデルでは,直接測定しにくい個体の移動分散パラメータをどう推定するかが大きな問題となっている.メタ個体群モデルなどでは分散パラメータがその挙動に大きな影響を与えることが示されており,現実の系への適用にあたっては分散パラメータの推定が大きな障害となっていた.
分散パラメータは時空間的に変動することが多く,誤差分布の評価が難しいため、最尤法などによる点推定は適切とは言えない.こうした点を克服するには,ベイズ統計学の考えにもとづいて各パラメータを確率分布としてとらえ,毎回のシミュレーション結果とデータとを比較して尤度を求めるMCMC計算を行ってパラメータの事後分布を求めるベイズ的較正(Bayesian calibration)を行うのが適切であると考えられる.
本研究では,過去20年間に分布域を拡大している房総半島のシカ孤立個体群を対象に,過去の分布変化のパターンとシミュレーション結果を比較し,ベイズ的較正を用いてシカの分散パラメータを推定した.