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一般講演 P1-040
沖縄県の石垣島ではアオウミガメ・アカウミガメ・タイマイの3種類のウミガメが産卵することが知られている。しかしながら、石垣島で産卵するウミガメの個体群について詳細は分かっていない。近年、石垣島では観光・開発による海浜の改変が著しく、早急にウミガメ産卵場保全のための対策を取る必要がある。石垣島では3種の中でアオウミガメの産卵が優占するため、アオウミガメの産卵個体群の規模を解明するために標識調査を行った。
石垣島でのアオウミガメ産卵盛期は5〜8月である。我々は石垣島で最もウミガメ産卵巣密度が高い伊原間牧場東岸において、1992年に予備調査を開始し、1993年以降は夜間産卵調査を行った。夜間調査は産卵シーズン初めの日中調査で初上陸が確認されてから開始し、ほぼ連日、産卵盛期の終わりまで行った。夜間調査では、産卵終了後に卵の埋め戻しを開始してから、もしくは産卵放棄が明らかになった時点でプラスチックジャンボタグ、及びインコネルタグを前脚もしくは後脚に装着した。2001年以降は肩付近にPITタグを挿入した。また、鱗板配列や甲羅の模様による個体識別も行った。その他の石垣島の砂浜においては、主に日中に上陸痕跡を探索した。
これまでのところ、伊原間牧場では40頭のアオウミガメを個体識別している。平均回帰間隔は3.8年で、2002年以前に識別した産卵雌の59%が産卵回帰している。1頭の雌の年間最大産卵巣数は7であった。石垣島全島では年間で最大116のアオウミガメ産卵巣が確認されており、これに1頭あたりの産卵巣数を勘案すると、年産卵頭数は10〜20頭と推測される。産卵回帰年数が3.8年であることから、石垣島のアオウミガメ産卵個体群は100頭に満たない可能性がある。