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一般講演 P1-050
河畔林は絶えず河川からの浸食、堆積などの撹乱を受け、撹乱の形態や規模、頻度は河畔林の種組成や構造を規定する重要な要因であると考えられている。貯水ダムによる流量調節は融雪出水の減少や夏期の水位低下をまねき、河川の土砂移動も変化させるため、下流域の河畔林の種組成や構造が変化することが考えられる。本研究では1998年から運用が開始された札内川ダム(北海道十勝川水系札内川)を対象として、下流域の河畔林の構造とその立地環境へおよぼす影響を明らかにする。札内川ダムは洪水調節、渇水時の流況安定、灌漑・水道用水確保、発電を目的とした多目的ダムであり、ダムの運用以前は2年に一度の確率で発生していた200m3/sの出水は運用開始後は発生しない。調査地は札内川ダム下流約17kmに設定し、河畔林はエゾノキヌヤナギ(Salix pet-susu)、オノエヤナギ(Salix sachalinensis)、ネコヤナギ(Salix gracilistyla)、オオバヤナギ(Toisusu urbaniana)、ドロヤナギ(Populus maximowiczii)、ケショウヤナギ(Chosenia arbutifolia)などの先駆性広葉樹が優占している。これらの先駆性樹種はダムの流量調節による立地面の乾燥化や更新サイトの減少によって衰退する可能性が指摘されており、本研究では立地環境の変化とそれらが各樹種の更新機構へ与える影響、その結果生じた河畔林の種組成や構造の変化について考察する。