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一般講演 P1-103

調査努力量の偏りはツバメの空間分布予測にどう影響するか

*リングホーファー 萌奈美,藤田 剛,樋口 広芳(東大・農・生物多様性),

野生動物への人為的な景観変化の影響を明らかにするためには、様々な空間構造を考慮した上で、注目する景観構造の影響を把握し、その分布を予測することが重要である。我々はこれまで、飛翔昆虫食性のツバメを対象にその分布にどのような景観構造が影響しているかについて研究してきた。ツバメはヨーロッパや日本で、農地景観の変化によって個体数が減少していると言われている。

本発表ではツバメの時空間的な分布を予測する第一歩として、石川県全域で小学校の校区ごとに調査されたツバメの営巣数データを用い、調査努力量の偏りを考慮した解析を試みた。この調査では各校区で調査努力量が一定ではないため、記録された営巣数はこれらの影響を受けている可能性がある。

景観データが揃っている1998年に注目し、調査努力量を考慮した場合としなかった場合の2通りの営巣密度を従属変数として用い、それぞれ別に以下の解析を行なって結果を比較した。独立変数には、ツバメの採食場所と営巣場所に関わる景観要素(水田面積割合、住宅地面積割合など)を用いた。空間構造を考慮した解析としてtrend surface analysisを行ない、さらにpartial linear regressionを用いて、ツバメの営巣密度の変動を、景観要素によって説明できるもの、空間構造を持つ景観要素によって説明できるもの、空間構造によって説明できるものに分割した。今回の発表では、この結果を報告する予定である。

日本生態学会