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一般講演 P1-109

教育現場における高校生による環境保全活動の実践例

*鹿野陽太(福島県立福島高等学校) (現所属:北海道大学水産学部海洋生物生産科学科2年)

近年、生態系の保全や復元という観点から、日本各地の大学、高等学校などの教育現場において、ビオトープ(多様な生物が生息する空間)の創出が盛んに行われている。

演者は高等学校在籍中に、構内の池において鰓尾目に属する寄生虫 Argulus sp. の寄生によるコイCyprinus carpioとフナCarassius sp.の大量死を確認した。この大量死の原因の一つには、池に砂利や水生植物がなく、コイとフナしか生息していない単純な環境であったことが考えられた。これを機に、池を多様な生物が生息する環境に改変することにした。

池に砂利を投入し、水生植物を移植した。さらに、高等学校周辺から採集した魚類、甲殻類、トンボ類の幼虫などを放流した。改変の結果、魚類ではタモロコGnathopogon elongatus、甲殻類ではヌマエビ科に属するエビParatya sp.が繁殖するようになり、トンボ類ではモノサシトンボCopera annulataが産卵するようになった。つまり、池に多様な生物が生息する空間、ビオトープが創出された。

ビオトープの創出が行われることは、生態系保全や環境教育の面から重要である。学生がビオトープの創出を効果的に行うためには教育関係者や有識者からの援助や助言が必要である。そのためには、教育関係者と学生、有識者間の連携が非常に重要となってくる。

そこで、これら三者が集まる本大会において、演者の実践例から得られた知見を紹介する。そして、本発表がビオトープ創出の参考になり、その普及啓発の一助になれば幸いであると考えている。

日本生態学会