| 要旨トップ | ESJ54 一般講演一覧 | 日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨


一般講演 P1-113

群馬県内のサクラソウ群生地における花柱構成比と結実率の関係

*石川真一(群馬大・社会情報), 増田和明(群馬県中之条小学校), 大森威宏(群馬県立自然史博物館)            

近年、群馬県内においてサクラソウの群生地が新たに確認された。その推定局所個体群数は380、推定ラメット数は1万以上と、国内で確認済みの群生地としては最大クラスといえる。しかしその保全に向けた研究、政策検討は始まったばかりである。本研究では、まずは当該地におけるサクラソウの個体群動態を解明する第一歩として、8カ所の異なる立地においてサクラソウの花柱構成比、結実状況を解析した。分散分析の結果、花茎あたりの開花数は、地点A(コナラ二次林林縁)および地点B(ミョウガ畑横スギ植林林縁)において最大であったのに対して、この2地点の花茎あたりの結実率は計測した地点中で最低となった。この原因は、クロホ病菌やガ幼虫の食害ではなく、未受精が原因と思われる胚未成熟であると推定された。花柱構成比の解析結果では、この2地点だけがほぼ1つの花柱タイプで構成されることが明らかになった。地点Aでは5年ほど前の大規模な盗掘により、また地点Bでは個体群の孤立化によって、花柱構成比が極端に偏り、結実が非常に困難になっていると考えられる。他の6地点では、Homoを含む3つの花柱型が存在し、クロホ病感染率と食害率に大きな地点間差があるものの、結実率は開花数に対して36-67%あった。

日本生態学会