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一般講演 P1-124

オオルリシジミの食草であるクララの訪花昆虫相

村田浩平*,岩田眞木郎,岡本智伸(九州東海大学農学部)

オオルリシジミShijimiaeoides divinus asonisは,阿蘇地域の草原に生息し,環境省の絶滅危惧種第1類に指定されているシジミチョウ科の1種である.幼虫は唯一の食草であるクララSophora flavescensの花芽のみを摂食して成長することから,生息地におけるクララの保護は,本種の保護策を検討する上で極めて重要である.

しかしながら,近年,放牧地の管理放棄などによりクララの自生地は減少傾向にあり,オオルリシジミを保護する上で憂慮すべき状況となってきている.

本研究は,クララ保護によるオオルリシジミの保護を目的として,オオルリシジミのわが国最大の生息地である阿蘇地域において,これまで明らかでなかったクララの訪花昆虫相を明らかにするため,開花時期を通じた定期的な調査を実施し,訪花昆虫としてハチ目4科13種,コウチュウ目3科3種,チョウ目4科7種,アザミウマ目1科1種が得られたので報告するものである.また,これら訪花昆虫のうち花粉媒介者としては,ミツバチ科Apidaeの数種ハチ類が重要と考えられることから,クララを保護する上での花粉媒介者の役割の重要性について考察するとともに,近年のオオルリシジミの発生状況,クララの分布状況の変化に関する調査結果も合わせて報告し,本種の保護策について検討する.

日本生態学会