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一般講演 P1-126
開花のタイミング、他個体との同調性などの開花フェノロジーは種子生産に大きな影響を与える。また、個体サイズ、光環境、気温などは開花フェノロジー、種子生産の両者に影響を与える。本研究では絶滅危惧樹木であるシデコブシにおいて、開花フェノロジーを調べ、個体サイズや光環境が開花に与える影響を検討した。次に、開花フェノロジーがシデコブシの種子生産に与える影響を検討した。
愛知県瀬戸市海上の森、屋戸川局所集団の175ジェネットを対象に、2003−2005年の開花期間中、3日に1度、開花の有無と開花量を調査した。2003−2005年に11ジェネットにおいて結果率、結実率、胚の生存率を求めた。また、2004年着葉期に79ジェネットの樹冠上で相対光量子束密度(rPPFD)を測定した。
集団における開花期間は平均29.0日、ジェネットの開花期間は平均15.2日であった。各ジェネットの開花の早さと開花期間はそれぞれ年間に有意な正の相関関係があり、各ジェネットの開花開始時期と開花期間には年を越えて一貫の傾向があることが分かった。各ジェネットの開花量はジェネットのDBHとrPPFDから有意な正の影響を受けていること、結果率、結実率、胚の生存率はいずれも、自身の開花量と周辺開花ジェネットの開花量から有意な正の影響を受けていることが明らかとなった。
シデコブシの種子生産の向上を図ることは、シデコブシの保全策の1つとして有効である。本研究では、ジェネットの開花量がジェネットのDBHとrPPFDによって増加すること、シデコブシの結果率、結実率、胚の生存率が自身の開花量や周辺開花ジェネットの開花量によって向上することが示されたことから、シデコブシの種子生産を向上させるための一方法として、光環境を向上させることが有効であると予測された。