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一般講演 P1-142

海浜植物14種の埋土3年後の発芽能力

*澤田佳宏(兵庫県立 人と自然博)

海浜植生は,自然または人為の攪乱によって破壊されやすい植生であり,破壊後の植生成立の材料のひとつとして,埋土種子が貢献すると考えられる.また,海浜では,砂の堆積によって深く埋もれた種子が,何年か後に(砂の移動や浸食によって)再び地表付近に現れて発芽可能となることが起こり得る.したがって,海浜植生の成立・維持のメカニズムを明らかにするためには,主な海浜植物について,永続的シードバンク形成の可能性や,土壌中での生残種子(発芽能力を持っている未発芽種子)の減少の過程を把握することが重要である.演者らはこれまでに,海浜植物14種を対象として約1年間の種子埋土実験をおこない,いずれの種でも,少なくとも1年間にわたって大半の種子が土壌中で生残すること(永続的シードバンクを形成すること)を報告した.しかし,1年よりも長い期間に,これらの種子が土壌中でどのように減少するかは明らかにしていない.そこで,本研究では,これら14種を対象に,結実当年(埋土処理なし)・1年間の埋土処理後・3年間の埋土処理後にそれぞれ発芽能力を調べることによって,埋土条件下での生残種子の減少の過程を推定した.約3年間の埋土処理後,ボウムギでは,生残種子は結実当年の約5%まで激減した.ハマヒルガオやケカモノハシでは,約3年後の生残種子は結実当年の50%程度にまで減少した.ハマボウフウ,コウボウムギ,オオフタバムグラなどでは,3年後にも生残種子はほとんど減少しなかった.土壌中の種子が指数関数的に減少するとすれば,ボウムギは,比較的短期間(5年間程度)で種子が失われる種(short term persistent species)であり,その他の種は,土壌中の種子が長期間(5年間以上)にわたって生存しつづける種(long term persistent species)であると考えられる.

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