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一般講演 P1-145

録音装置を用いたカエル類モニタリングの試み

*福山欣司(慶応大学・生物学教室), 岩井紀子(東大院・農学生命), 大河内 勇(森林総研)・草野 保(首都大学東京・理工学研究科・生命科学), 栗山由佳子(田んぼとあそぶ会), 竹中 践(北海道東海大学)・長谷川雅美(東邦大・理), 森田敏弘・亀山 剛(広島ダルマガエルの会), 谷地森秀二(四国自然史科学研究センター), 渡辺伸一(千葉県博)

両生類の生息状況のモニタリングには,従来,卵塊カウントやルートセンサスがおもに用いられてきたが,市民が参加する全国的なモニタリングのためには,より簡単な方法の開発が必要である.そこで本研究では,音声録音装置によるカエル類のモニタリングシステムの開発を目指し,一連の研究を行った.調査は,2005年4月から2006年3月にかけて,全国7ヵ所(北海道,東京,千葉,静岡,広島,高知,奄美大島)のモニタリングサイトで行われた.水田や水辺に今回開発した同一規格の自動録音装置(テープレコーダ型とICレコーダ型の2種類の何れか)を設置し,毎日20:00〜20:05の5分間,音声をモニタリングした.定期的に装置を回収し,録音された音声を確認した.作業を容易にするために,データは5分間に1回以上鳴いたカエルの種類の確認のみとした.その結果,次のような点が明らかとなった.1.各サイトで調査期間中に繁殖するカエル類のすべてをモニタリング出来た.2.ほとんどのサイトで,モニタリングした種の繁殖開始と終了の時期が特定出来た.3.同一種を使ったサイト間の比較が可能となった.例えば,シュレーゲルアオガエルは東京,広島,高知でモニタリングされたが,繁殖終了時期がどの地域もほぼ同じ(6月下旬)になるなど,従来にはない知見も得られた.以上のように本研究のシステムは,カエル類の鳴き声さえ識別出来れば,専門家でなくてもモニタリングが可能な点で全国的なモニタリングに適していると言える.

日本生態学会