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一般講演 P1-146

河川の流量変化が魚類に与える影響−実験河川を用いた流量制御実験−

*佐川志朗,秋野淳一,矢崎博芳,真田誠至,萱場祐一(土研・自然共生セ)

流量および河道地形は河川環境の保全および創出を考慮した場合に河川管理上憂慮すべき2大要素であるにも係わらず,両要素が複合的に組み合わさった場合の魚類群集の応答様式についての報告はなされていない.本研究は,実験河川を用い河川流量を時間的に変化させることにより,河道地形が単調な区間(平瀬区間)および複雑な区間(瀬・淵区間)における魚類群集の応答様式を明らかにし,今後の河川管理に資することを目的とした.

平瀬河道では流量増加に伴い底生魚であるドジョウやシマドジョウが優占する魚類群集構造から,遊泳魚であるオイカワやタモロコが優占する群集構造に変化した.一方,瀬・淵河道では,シマドジョウやオイカワが優占する群集構造からアユが優占する群集構造に変化した.両河道に成立した群集構造は,流量が少ない時には底生魚類主体の群集タイプで類似したが,流量の増加に伴い類似性が薄れ,河道間で全く異なる群集構造に推移した.平瀬河道における流量の増加は,水深と流速を直線的に増加させ,遊泳魚の確認種数,構成割合,個体数およびサイズ(全長)が段階的に増大し,オイカワの個体数は5倍以上に増加した.しかし,ドジョウの個体数は1/4以下に減少した.一方,瀬・淵河道は平瀬河道と異なり,流量の増加による水深および流速の変化様式は明確ではなかったものの,アユの個体数が顕著に増加した.今回調査した全測点を用いてオイカワおよびアユの生息の適性条件を満たす測点数の割合を算出した結果,両種ともに瀬・淵河道より平瀬河道の方が大きかった.にもかかわらずアユが瀬・淵河道を選択した理由としては,平瀬河道には砂が卓越したのに対して,瀬・淵河道には中礫が卓越したことが起因しており,後者にはアユが食せるような藻類が付着した礫が多く,それに誘引されたものと考えられる.

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