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一般講演 P1-180

多年生草本レンゲショウマ個体群の齢・サイズ構造と雌性繁殖投資

*鈴木まほろ(岩手県立博物館),木村恵(東大ア生セ)

多年生草本において、個体の年齢と体サイズ・生活史の間には相関関係があると考えられているが、ほとんどの種の野外個体群では個体の実年齢が不明であるため、その関係は明示的ではない。ところがレンゲショウマAnemonopsis macrophylla L.(キンポウゲ科)は、地上シュートの維管束痕が地下茎に毎年残り、そこから個体年齢を推定できるため、多年生草本の生活史と繁殖戦略・個体群動態の関係を研究するには優れた材料である。

本研究ではまず、レンゲショウマ野外個体群の18個体25ラメットの地下茎から年齢を読み取り、体サイズ指標としての葉面積との関係を調べた。ラメットの年齢は平均16.7(9 - 25)で、他のラメットと地下茎でつながっていない場合(n=12)には、年齢と葉面積の間に有意な正の相関があった。他のラメットとつながっている場合は、低年齢でも大きな葉をつけるラメットが多数存在する一方、高年齢で葉を持たないラメットも存在し、両変数の間に有意な相関は見られなかった。このことは地下茎を通じてラメット間に資源の移動があることを示唆する。複数ラメットを持つ個体はすべて15齢以上であったが、15〜20齢の単独ラメットも多数存在した。したがって、若齢個体を除けば、年齢と体サイズの関係推定は複雑になることが予想された。

次に、花数と心皮の数を雌性繁殖投資量の指標とし、年齢・体サイズとの関係を調べた。開花個体の年齢は10以上であった。開花個体と非開花個体の葉面積の平均値には有意な差があり、葉面積と花数には正の相関があった。また、花数に対して葉面積を予測子としたポアソン対数回帰モデルを当てはめ、年齢を説明変数に加えた場合、モデルのあてはまりが向上した。本研究ではさらに、各個体の花数の年変化や心皮数と体サイズの関係についても推定を試みる。

日本生態学会