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一般講演 P1-187

4年続けて伐採した低木・亜高木種の萌芽特性

*菅原未知登,百瀬邦泰,二宮生夫(愛媛大),林田光祐(山形大)

撹乱後、多くの樹種は萌芽により更新する場合があり、萌芽は撹乱への耐性といえる。撹乱の多い立地では萌芽する樹種が多く、撹乱の頻度と萌芽能力は関係していると考えられている。しかし、撹乱の頻度と撹乱耐性を同時に評価した研究は少ない。本研究では、低木5種、亜高木6種を伐採し、その後一年に一度切り株から生じた萌芽枝を採取することで繰り返される撹乱を想定し、各樹種の持つ撹乱耐性を萌芽の発生と枝の特徴から評価した。採取を繰り返すことによって全ての樹種で萌芽発生率は減少し、4つのパターンがあった。また、4年目の残存個体の特徴には、親株の地際直径に一定の関係があった。大きな株が残った樹種は8種、小さな株は1種のみ、2種は直径との関係がなかった。採取した萌芽枝は、乾燥重量、発生本数、長さ、太さを計測した。種間の差の検定には、共分散分析を用いた。共変量は乾燥重量とし、乾燥重量の検定では親株の地際直径を用いた。乾燥重量、本数、長さ、太さは種で有意な差が認められた。多重比較により萌芽枝特性には4つのタイプがあった。落葉亜高木、落葉低木、常緑低木で異なり、さらにウリハダカエデとハウチワカエデは他の落葉亜高木種とは異なっていた。乾燥重量は、低木種とカエデで軽く、本数は落葉低木種が少なく、長さは常緑低木種が短く、太さは落葉亜高木とカエデが細かった。採集を繰り返すことで、萌芽枝特性は変化し、生活形内で似た減少傾向を示した。しかし、これらの萌芽枝特性と発生率に一定の関係はなかった。それぞれの萌芽枝特性のタイプは、起こりうる撹乱への対応方法の違いと考えられ、撹乱耐性は、各樹種の生活史を反映していることが示唆された。

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