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一般講演 P1-248

光環境の差異に対するハリギリ稚樹当年シュートの応答

*廣川純也(東農大・院・生物),鈴木悌司(東農大・生物)

高木種にとって稚樹の段階では、他個体よりも早く樹冠層に到達するよう生長することが目的となる。そのためには光の受容器官である葉を、効率的にシュートに配分することが必要である。また、強光下では一般に葉が厚くなるといわれており、個葉の形態的変化も重要である。

北海道地方の針広混交林の主要な構成樹種であるハリギリは、遷移中間型に分類され、伸長形態は頂芽型であり、特に稚樹の段階では分枝せず主軸のみの場合もある。

本研究では、異なる光環境下に生育するハリギリ稚樹当年シュートが、これらの差異に応じて、生長量・葉の形態・窒素含有量をどのように応答させるかを明らかにすることを目的とした。

調査地は北海道網走市内の裸地(相対PPFD100%)とカラマツ人工林(同10〜15%)である。両サイトから分枝構造のみられない稚樹を計53個体選び、当年主軸伸長量・同主軸肥大生長量・同主軸上の全葉身長を計測した。また、両サイトよりハリギリ葉を各35枚程度サンプリングし、葉身長と葉面積・乾燥重量・窒素含有量の関係式を算出した。

その結果、(1)裸地個体は林内個体と比較して、主軸伸長量・肥大生長量共に多かった。(2)当年主軸上の着葉総面積に差はみられなかったが、着葉数は裸地個体が多く、SLA平均値は小さく、総乾燥重量は重く、総N含有量は多かった。一方、(3)当年主軸長に対する割合では、着葉数およびN含有量に差はみられず、裸地個体の葉面積は小さく、乾燥重量は重かった。

ハリギリ当年シュートは光量の差に対して、個葉の形態は変化させるものの、着葉総面積に変化はなかった。また、着葉数やNのシュート長当たりへの配分率も差はなく、伸長量の増加に伴った総N含有量の増加によって、生長を良くしている可能性が示唆された。

日本生態学会