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一般講演 P2-014
岐阜大学21世紀COEプログラム「衛星生態学創生拠点」では衛星リモートセンシング観測データを生態学的根拠に基づいて解析・利用できるようにし,数値気象モデルと結合することにより,流域生態系における炭素や水などの物質およびエネルギーの循環機構を司る生態系の構造と機能の諸過程を観測・解析する学問分野の創生を目指している。岐阜県山間部(高山市の大八賀川流域:標高600〜1500m)を研究重点フィールドとして様々な森林タイプを対象とした精査サイトを設定し,複雑地形を対象とした衛星リモートセンシング解析技術の検討,既存の植生指標の精度検証と改良案の検討,森林の構造と光合成能の地上観測データと衛星データとの照合,常緑針葉樹林と落葉広葉樹林でのCO2フラックスの観測,高解像度数値気象モデルと生態系炭素収支モデルの結合によるCO2・水・エネルギーの吸収・放出過程解析を進めている。これまでに得られている主な成果は以下の通りである。
(1)個葉の光合成,吸収/反射スペクトル,葉群構造の測定に基づいた放射伝達モデルと群落光合成モデルの結合により,衛星リモートセンシングデータから落葉広葉樹林の光合成能のフェノロジーを推定する手法を検討した。
(2)衛星リモートセンシングデータ解析の際の地形補正および大気補正の手法を改良し,山間部の複雑地形の上に分布している様々な植生タイプのマッピングが可能となった。
(3)高解像度数値気象モデルMM5と生態系炭素収支モデルNCAR-LSM,衛星画像解析による植生分布マップ,植物生理生態学的データの結合による流域圏生態系モデルが構築された。