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一般講演 P2-016
島根県三瓶山西の原は、50年以上前までは採草地であったが、現在は複数の管理区に分かれており、植生に差が生じている。年5〜6回の刈り取りが行われる山麓ではシバ型の草原(シバ区)となり、年一度の野焼きのみが行われる区ではススキ型の草原(ススキ区)となっている。防火帯の内部は、ここ15年放置された状態になっており、低木が繁茂している(低木区)。このような管理方法の違いにより、年間の地上部バイオマス量が変化し、土壌に供給される炭素量にも差が生じると考えられる。そこで複数の管理区から、地下0-5cm、5-10cm、10-15cmの土壌を採取し、炭素と地下部バイオマスの分布を調べた。草刈り頻度の高いシバ区では、土壌炭素含有率が20%以上と最も高くなり、低木区で最も低くなった。深度別では、地下部バイオマスの大きい地下0-5cmで最も高い土壌炭素含有率を示した。土壌炭素含有率は深度にかかわらず、(シバ区)>(ススキ区)>(低木区)となった。標高は、シバ区で最も低く、低木区で最も高い。炭素安定同位体比からみると、地下0-5cmで最も地上部植生の影響が大きくなると考えられるが、深度にかかわらず常にシバ区が高い土壌炭素含有率を示すことから、管理手法のみでなく地形要因による炭素の移動が、土壌炭素分布に大きな影響を与えていると考えられる。